年齢を重ねていけば、誰もが将来に不安を感じているのではないでしょうか。
その中には、認知症の症状にみられるようなご自身の判断能力の低下があるかと思います。
認知症・知的障害・精神障害等によって物事を判断する能力が十分でない方について、その権利を守る援助者(後見人等)を選任する事により、不動産や預貯金などの財産管理や、浪費・散逸の防止、介護サービス・介護施設との契約等、本人を法律的に保護・支援する制度が成年後見制度です。
後見が開始された後は、後見人は本人の財産を管理するにあたり、家庭裁判所の監督のもとに置かれます。
よって安心して利用できる制度です。
成年後見制度の種類 -法定後見と任意後見
すでに判断能力が十分でない人について、家庭裁判所に後見開始の審判の申し立てをして、援助者(後見人)を選任してもらうものです。
本人の有する判断能力の程度の差により、「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」に区分されます。
今現在は判断能力に問題のない人が、将来判断能力が不十分になった時に備え、信頼できる人(将来の後見人)と支援内容について公正証書を作成して契約を結んでおくものです。
その後、実際に判断能力が低下したときに、家庭裁判所が後見監督人を選任すると、この契約の効力が発生し、後見人は契約で定められた事務処理を始めることになります。
このように任意後見では、契約後その効力が発生するまでに数十年かかることも考えられるため、併せて「見守り契約」や「任意代理契約」を結んでおくこともできます。
- 「見守り契約」とは?
見守り契約とは、後見人になる予定の方が、本人と定期的に連絡をとりあうことによって、任意後見をスタートする時期について相談をしたり、判断したりする契約です。契約後は、月に1回程度面談をさせていただき、健康状態などをお伺いします。
- 「任意代理契約」とは?
「任意代理契約」とは、任意後見がスタートするまでの間、後見人になる予定の人に、財産管理などの事務を任せる契約です。
判断能力はまだ低下してはいないものの、体力の衰えや物忘れがひどいなど、財産管理に不安をお持ちの方も多いと思います。
この「任意代理契約」を「任意後見契約」と併せて結んでおくことによって、判断能力の衰えによって任意後見をスタートさせる必要性が生じてから、実際に任意後見がスタートするまでの間の期間も、代理人による事務処理が可能となり、ムラのない本人支援が実現できます。
成年後見制度のメリット・具体例(法定後見) -財産について将来への不安を取り除くことができます。
将来への不安を取り除くことは、今の生活にもゆとりを感じさせてくれるはずです。
成年後見制度を利用することによって、悪徳商法や詐欺からの被害も予防することができます。
- 父が認知症になってしまった…
- 父の入所費用を支払いたいが父の口座から預金を引き出せない…
- 法定後見人としてお父様の財産(預金等)を管理し、入院費・入所費等を支払います。
- 母が消費者被害にあっている…
- 一人暮らしの母。実家に行くと新しい布団が山積みになっていた…
- 法定後見人として不要な契約を取り消すことができます。
- 遺産分割協議ができない…
- 遺産を分けたいが、相続人の一人に知的障害者がおり、遺産分割協議ができない…
- 法定後見人としてその方に代わって遺産分割協議に参加します。
- 自宅を売却して施設に入りたい…
- 最近の父は1人での生活が困難になってきた。自宅を売却し、その資金で適切な施設を探して入りたい…
- 法定後見人としてご本人のご自宅を売却し(裁判所の許可が必要)、適切な施設と入所契約をします。
手続きの流れ
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- 申立ての準備
必要書類(戸籍等)を収集し、申立書ほか関係書類一式を作成します。
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- 審判の申立て
家庭裁判所において、申立て書類一式の提出、書類審査、並びに即日面接
※ 面接には当事務所代表司法書士も同行します。
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- 審理
調査官による調査、親族への照会、本人の判断能力について医師の鑑定
※ 鑑定は行われないケースもあります。
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- 審判
後見人を選任する旨の審判がおります。
※ 場合によっては家庭裁判所の判断により、候補者が選任されず裁判所が選任した別の後見人(弁護士や司法書士等)が就くこともあります。
※ 事案により異なりますが、申立てから選任審判まで約1ヶ月~3ヶ月程かかります。
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- 審判書の交付
家庭裁判所より審判書謄本が届きます。
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- 審判確定
審判書が届いて2週間が経過すると審判が確定し、後見人の仕事が始まります。
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- 後見登記
家庭裁判所からの通知で、法務局において審判の内容が登記されます。
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- 契約内容の決定
「支援する人(後見人は誰にするか)」「支援する範囲・内容(後見人にどこまでの権限を与えるか)」などの契約内容を決め、文案を作成します。
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- 後見契約の締結
後見人候補者との間で「任意後見契約」を結びます。
※契約書は、公証人の立会いのもと、公証役場にて公正証書として作成します。
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- 後見の登記
公証役場からの通知で、法務局において契約の内容が登記されます。
※後見人候補者や本人の請求により、登記事項証明書が発行されます。
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- 後見監督人選任
「最近、少し認知の症状がみられるようになった。」など、任意後見を開始すべき時がきたら、家庭裁判所に後見監督人の選任を申し立てます。
後見監督人が選任されると、任意後見が開始され、後見人の仕事が始まります
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- 監督人の登記
家庭裁判所からの通知で、法務局において後見監督人が登記されます
当事務所によるサポート
成年後見の申立て手続きは、取得する書類・準備する書類が非常に多く、大変煩雑です。
当事務所が面倒な手続きをまとめてお引き受け致します。
法定後見の申立て手続きのみならず、家庭裁判所に対する年次報告のお手伝いや、任意後見契約に関する公証役場との打ち合わせ等、あらゆる手続きを総合的にサポートさせて頂きます。
また、身内に後見人候補者が見当たらない場合には、当事務所代表司法書士が後見人(候補者)となることも可能です。(状況・ケースによります。)
是非お気軽にご相談下さい。